2012年10月1日月曜日

ボーン・レガシー 〜この世は全て相対評価〜


<ネタバレあり>


ボーン・レガシーは、つまらないわけじゃない。
一応、おもしろい。
でも、ボーン・アイデンティティーと同程度。まぁまぁな作品。


ボーン・アイデンティティーは、
マット・デイモン/ジェイソン・ボーンの1作目。
今回も、ジェレミー・レナー/アーロン・クロスに主役が入れ替わって1作目だ。
本作がまぁまぁでも、前と同じ状況じゃないか。


・・・とは、いかないだろうな。
多分、めちゃめちゃ批判されると思う。


本作が「マズい」のは、
シリーズ1作目の”アイデンティティー”以後に続いた、
”スプレマシー”、”アルティメイタム”といった傑作アクションを踏まえた上での、新たなるスタート!!

・・・という位置づけだった点だ。
”アイデンティティー”とは置かれた状況が違っていて、かなり分が悪いよ。
批判に耐えてくれよ?ジェレミー・レナー!!



この”レガシー”。何が悪いって、シリーズの大黒柱たる脚本が悪い。
ボーン・シリーズとしては致命的。
”スプレマシー”以後極まってた「論理・必然・現実感」の神シナリオが、
明らかに劣化してる。


前三部作は、ジェイソン・ボーンの完璧な判断力と戦闘力が魅力だった。
しかし今回、
アーロン・クロスの判断力や戦闘力が完璧なのかどうか、よくわからない。
動機やシチュエーションの描き方が雑で、
観客が状況を掴み切れない状態のまま話を進めてしまうから、
アーロンがどれだけ凄い判断力と戦闘力を見せつけても全然伝わらないんだ。


例えば、
アーロン・クロスの行動動機である薬のくだりとか明らかに説明不足・伏線不足だし、
リック・バイヤー(エドワード・ノートン)の設定や位置づけがピンとこないし、
研究所で暴れた所員の説明が雑すぎるし、
アーロンを追う敵工作員が、全然怖くない。つうか、白い歯見せながら怒って追跡する姿が人間兵器に見えずショボイ。「ボクチャンもう怒ったぞゾ!」って言ってる気がするんだもの。スゲー小物っぽい。
etc....

こういう細かいツッコミどころは、どんな良作にも1つ2つはあるものだけど、
多くなればなるほど、観客はついていけなくなり、
ストーリーが観客を置き去りにしてしまう。
だから無視はできない。

監督のトニー・ギルロイって
”スプレマシー”や”アルティメイタム”で脚本やったはずだが。
監督業やって、ヘンな折り合いつけちゃったのかな?
やっぱりポール・グリーングラスの帰還を願うしかないか。(・・・無理だろうな)

つまり、
ボーン・レガシー凡作になってしまったのは、裏方の責任だ。
しかも、前三部作との比較の結果、相対評価としての凡作。


だから・・・俳優陣は悪くない!
ジェレミー・レナー自身はしっかりやっててカッコ良かったと思うし、
レイチェル・ワイズも、さすがオスカー女優だと思った。

まぁ、レイチェル・ワイズ/シェアリング博士のパニック演技は正直ウザイけど、
あれも脚本のせいだ。
彼女の心の傷を大して描いていないクセに、パニックシーンだけ妙に長くて、
クドイんだ。


あー、この感じ、ダークナイト・ライジングと同じだ。

このやるせない感の矛先を何処へ向ければ・・・?


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