2012年5月28日月曜日

プロメテウス対策講座「エイリアン」


今夏公開の「プロメテウス」の予告編から垣間見る完成度の高さに触発されて、久々に「エイリアン」を鑑賞。

過去、自分が最も触れたエイリアン作品は、なぜか「3」。(フィンチャー大好き)
1作目は、幼い頃に1度だけTVで鑑賞したのみであったため、ほとんど記憶から消えていた。今回復習したことで、プロメテウスが通常の3倍楽しめるようになったと思う。少しでも1作目の記憶が薄らいでいる人は、是非直前に復習してみるといいと思う。


>予告編の類似 (エイリアンとプロメテウス)

興味深かったのは、、DVD特典として収録されていた「エイリアン」公開当時の予告だ。



そして、次が、昨月公開された「プロメテウス」の予告。



雰囲気が超似てる。終盤で繰り返し発せられる、何とも表現し難い怪音は、全く同じモノだ。


>スペースジョッキー(コレの存在すら忘れていたミーハーな自分・・・。)
 そもそもエイリアンとは、リプリーの乗る”ノストロモ号”の船員が、とある惑星で”謎の宇宙船”を発見し、その船内で遭遇してしまうもの。その宇宙船には、乗員と思われる”謎の巨人”が、椅子に座ったままミイラになっていた。このミイラは、”スペースジョッキー”と呼ばれている。
 「エイリアン」DVD特典には、1999年に新録した、リドリー・スコット監督のコメンタリーが収録されている。そして(ミーハーとしては)驚くべきことに、スペースジョッキーのミイラ発見のシーンにおいて「いつか、エイリアン5と6を撮りたい。この作品では、”彼ら”がどこから来たのかを明らかにする。エイリアンとは、彼らの生物兵器である。」との構想を語っていた。
 というかそもそも、エイリアンの卵を遮蔽するレーザーバリアー等の設備からして、1作目の描写で既に”完全生物たるエイリアンが、スペースジョッキーの管理下にあったもの”であることが、明確に描かれていると言える。

 プロメテウスでは監督の宣言通り、そのスペースジョッキーの正体が描かれることになっている。プロメテウスの予告編には、謎の巨人が画面に写っていて、エイリアンでノストロモ号の船員が見つけたミイラが座っていた座席までもが確認できる。
つまり今回のテーマは、
・スペースジョッキーの正体
・エイリアンの正体
・ウェイランド社がエイリアンの存在を嗅ぎつけた経緯
・スペースジョッキーと人類の関係・・・。
といったところだろうか。

 長年温めてきた構想を、リドリー・スコット監督がガチ本格SFとして映画する本作。尻すぼみとなったエイリアンシリーズに一石を投じ、初代が放つ魅力、すなわちSFとミステリーが共存する壮大な世界観を復活させ、エイリアンをリアルタイムで見れなかった我ら若い世代を興奮の渦に巻き込んでくれることを期待したい。


 ちなみに余談。プロメテウスは前後編によって構成されるという事前情報もあり、後編はエイリアンシリーズと同様ジェームス・キャメロンが「メガホンをとる」なんて発言し、衝撃が広まったこともあった。(後にジョークと判明)
 さらに余談。当たり前ながら、初代エイリアンでのシガニー・ウィーバーが若くて美しいよ。


2012年5月26日土曜日

臭いゴミ箱のフタをあけろ!「ある戦慄」

町山智浩氏のトラウマ映画館で紹介されていた映画「ある戦慄」がDVD化されてTSUTAYAに並んでいたので、さっそくレンタル。これはとっても後味の悪い映画だ。

<ストーリー> ーamazonより抜粋ー
”ニューヨーク・ブロンクス。夜の街を闊歩するジョーとアーティのチンピラ二人組は通行人を暴行して小銭を巻きあげると、マンハッタン行きの地下鉄に乗車する。そこには幼い少女を連れたウィルクス夫妻、アリスとトニーの若いカップル、年老いたベッカーマン夫妻、教師のパーヴィスと美人の妻バーサ、白人を憎んでいる黒人アーノルドとその妻、同性愛者のケネス、休暇中の陸軍一等兵などが乗っていた。ジョーとアーティは乗客をからかい始める。ドアが故障して他の車両へ移動できないため誰も逃げられない。すると乗客はチンピラに挑発され、日ごろの鬱憤を爆発させ、感情をむき出しにし、互いにののしり合い始める。調子に乗った2人は少女に手を出そうとする。そのとき、ついに立ち上がって彼らに対決を挑んだのは意外な人物だった……。”

 暴力シーンはほとんど無く、ただひたすら精神をえぐるので、スカッとする場面がほとんど無い。乗客同士の喧嘩もあるのかと思っていたのに、他人がチンピラに絡まれるのを皆が見知らぬフリだし、なおさら気持ち悪い。その上、暴力や乱闘が無いので、観客の鬱憤を晴らす所も存在せず、全くスカッとしない。映画のプロローグの中で、予めチンピラの怖さを説明しているので、「こいつら何をしでかすか分からないぞ・・・」という印象を持たされた。だから暴力が無くても不安で仕方なくなるのだ。

でもこの映画は、とっても価値のある映画だよ。

 人が他人に見せまいと隠してしまう本音、本心、裏腹を、包み隠さず、オーバーでもなく、ストレートに描いている。これを見ると、「もしや、自分もこうなってしまうんだろうか?」と考え、落ち込んでしまうんだ。
 残念ながら、こういう汚い一面はどんな人にもある。普段はキレイ事を言ったり、自分の自身や実力、道徳観を信じてしまうことが多いんだけど、いざ危機的状況に陥ると、何もできないどころか、無様な自己保身、逃避行動をとってしまう。そんな弱い生き物なんだろうな、人間って。
 でもこういう映画を見ておくことで、そんな自分の弱々しい部分に目を向けることができる。弱さを理解することで、無闇にプライドを持つことを防げるし、何かに遭遇したときにどういう行動をとることができるのか、自分にできる事は何なのか、シミュレーションしておくことができる。

 もっともっとこの映画が広まればいいのに。


2012年5月22日火曜日

ダーク・シャドウは予想通り。



「【国内映画ランキング】ジョニー・デップ君臨。「ダーク・シャドウ」V、「ファミリー・ツリー」は6位」ー映画.comー

うーん、ファミリー・ツリーは売れぬか・・・。

テルマエ・ロマエはともかく、宇宙兄弟やコナンにも負けたか。
やはり邦画は強い。
日本で邦画人気なのは、当然か。

というか、日本じゃジョージ・クルーニーだと客を呼べないのかな。
今や、映画のタイトルより先に名前が出る俳優といえば、トム・クルーズか、ジョニー・デップぐらいか。こういう人を「スター」と呼ぶのだろう。

2012年5月21日月曜日

「007スカイフォール」予告編


この冬の注目作「007スカイフォール」の予告編が世界同時公開!!



シリアスですな。

 カジノ・ロワイヤルと慰めの報酬の中で描かれたテーマ、「ボンド誕生」とは独立した作品となる、という点は以前から聞いていたので、ブロスナン以前の雰囲気に舵を切り直すのか、このままシリアス・リアル路線を崩さないのか、そのバランスに注目していた。するとどうだ。完璧なドシリアス予告のようだ。これで、特撮じみた古き良き007の流れは、完全に潰えたことになる。これも時代の定めか。

ダニエル・クレイグへ送るのにピッタリなセリフを、ダークナイトのジョーカーが言っていたな。


”お前はすべてを変えてしまったんだ。
永遠に、もう、戻れない・・・。”



いや、戻らなっくていいよ。無茶苦茶期待してます。




2012年5月19日土曜日

スーパーチューズデー 予告編

これは・・・エグそうだ。




キャストすごい。
何より、大好きなポール・ジアマッティが出ております。


2012年5月17日木曜日

名案

アメリカにあるテーマパークの、ディズニー・ハリウッド・スタジオでの企画「スター・ウォーズ・ウィークエンド」に向け、面白いイベントを考えようと、ブレインストーミングを行いました。
”スペシャルゲスト”含むフレッシュマン達が、アイデア創出に挑みます。




司会者「最初は誰かな?準備ができたかな?みんなでアイデアを広げていこうよ!」

D.V.「ジェダイを滅ぼす。」

司会者「・・・。」


もはやギャグキャラだ。

2012年5月16日水曜日

バットマン・ビギンズの名言について


「人の本性は行動で決まるものだ」


バットマン・ビギンズで、レイチェル・ドーズがブルース・ウェインに言った言葉だ。少し補足してみると、こんな感じだろうか。


「人の本性は、言葉ではなく、行動で決まるものだ。」


口だけなら何とでも言えるもの。行動とは、何とも難しいもので・・・。

2012年5月15日火曜日

シブイ男が満載「Gangster Squad」予告編

MIB3の若きK役で知名度アップ間違いなしのジョシュ・ブローリン、ライアン・ゴズリング、ショーン・ペン出演の「Gangster Squad」予告編。ロス市警のメンツが男臭すぎる。



マフィアVSロス市警の戦いなのだが、予告を見ていると、もはや、警察VSギャングではなく、無法者VS無法者の戦いになっていくのだろうか。

"You're a cop!"
"Not anymore."
かっくいい!躊躇なくショットガンを打ち噛ますライアン・ゴズリングに期待。


紅一点のエマ・ストーンがめちゃかわいい。このメイクはハマってるよ。しかし、ショーン・ペンのギャング役は、なんだか全然ピンと来ない。持ち前の演技力で巻き返すかな?


2012年5月14日月曜日

ナガ〜タ〜な「バトルシップ」

ユニバーサル映画100周年記念映画「バトルシップ」を見た。
浅野忠信が目立つ役を務めていることでも話題になった本作を見て・・・特に感想は無い。何もない映画だ。




<ストーリー> ーallcinemaより抜粋ー
 ”ある日、ハワイ沖にアメリカや日本をはじめ各国の軍艦が集結し、大規模な合同軍事演習が行われようとしていた。血気盛んな米海軍の新人将校アレックスは、日本から参加した自衛艦艦長のナガタに激しいライバル心をむき出しにする。そんな中、演習海域に正体不明の巨大な物体が出現する。さっそくアレックスの乗る駆逐艦とナガタの自衛艦、それにアレックスの兄ストーンが艦長を務めるサンプソン号の3隻が偵察に向かう。ところがその正体は、地球に飛来したエイリアンの母船だった。やがて母船は巨大なバリアを築き、人類はそこに閉じ込められた3隻以外に反撃の手段を失ってしまうのだった。”


 本作は、いかにも制作会社主導という作りになっていて、いい作品であることより、作ること自体が目的化していたんじゃないのかな、という感じがした。とりあえず、話として繋がっていればいいや、的な。俳優も地味で、一応の目玉俳優リーアム・ニーソンは完全にチョイ役。俳優にお金かけてないのが予想つく。

 話は繋がっていると書いたけども、どうも全体的にリアリティに欠ける。ヤマト並とまではいかずとも、納得のいかない展開ばかりが目についた。宇宙人達は何でわざわざ母星と連絡をとろうとしたのか。通信こそ大事だ、とかいう趣旨の話は一応してるけども、地球の場所はもう知っているわけだし、説得力に欠ける。あとハワイ周辺の話なのに、どうして全世界で暴動が起きるの?スナイパーライフルで宇宙人の戦艦の司令室に穴が空くものなの?地球の通常兵器相手に簡単にやられすぎじゃない?あんなミサイルでブッ壊れちゃうのになんでたった5機で来ちゃうの?話の序盤で主人公の才能について伏線張りまくったくせに、見せ場らしい見せ場は最後の一騎打ちぐらいって寂しくない?etc...

 この手の無理矢理なプロットは、90年代以前のアクション映画を彷彿とさせる。エクスペンダブルな俳優たちの全盛期は、このランクのストーリーの乱打だったなぁ。当時は俳優が体張って頑張った分、本作はその代わりにCGで見せようとする映画だったのかな。でももはやCG技術は発達しすぎてしまって多用され、CGで客を呼べる時代は終わってしまったと思うんだが・・・。

テイラー・キッチュって「ウルヴァリン」でガンビット演じてたんだね。いや別にいいんだけど。

2012年5月13日日曜日

アレクサンダー・ペイン監督「ファミリー・ツリー」予告編


いよいよ日本公開が来週に迫った「ファミリー・ツリー」の予告編を見た。
「サイドウェイ」のアレクサンダー・ペイン監督による久々の映画。本作でもアカデミー賞の脚色賞を受賞しちゃっているので、相当期待してます。
ぜったい初日に見に行くぞ!



この予告、ナレーションを小山力也がやってる。映画の日本語吹替版で、ジョージ・クルーニーの役を頻繁に担当する人だ。今や「ジョージ・クルーニーを演じさせたら右に出る者がない」ってイメージがある。シブくてスマートそうなカッコイイ声だもの。これはもはや、シュワの吹替が玄田哲章にしか務まらない現状と同じ事が起こり始めているね。そりゃ予告のナレーションにも呼ばれるよ。(本作のジョージ・クルーニーはダサ親父役だけど・・・。)

個人的には小山力也の声に猛烈フィットするのは、ニコラス・ケイジなんだけども・・・。(TV版ザ・ロックでの吹替演技は吹替史に残る名演だと主張したい。)


2012年5月12日土曜日

SpaceBattleShipヤマト


遂に見た。実写版ヤマト。

・・・。

「意外に楽しめるよ?」なんて評価もチラホラと聞いていたのが、、、ちょっとなぁ・・・。

CGは凄かった。
でも、ストーリーはリアリティに欠けていたし、各シチュエーションごとにお決まりのベタベタな会話が展開されるばかり。見たことあるようなシーンを繋ぎあわせて一本の映画を作ったような感じがした。監督は山﨑貴監督。この人、三丁目映画から全く成長していないじゃないか。いっつも記号やアイテムに頼ってシナリオを作っててさ・・・。もっとオリジナリティある脚本を責任持って書かろって。記号を使うなとは言わないけども、それならそれで楽しませてもらわないと。

制作スタッフを見ると、プロデューサーとか製作担当の人間が20人ぐらいいるんだ。もう明らかにTV関係者の利権構造を反映してるよ。ネタ主導で金儲けしようとする連中なんだろうね。嫌な感じ。

DVDレンタル料金200円と、僕の休日2時間を返してくれ。


2012年5月11日金曜日

ショーン・ビーン逮捕!!


せっかく昨日褒めてあげたのに・・・。

「ロード・オブ・ザ・リング」俳優、元妻への嫌がらせで逮捕」ーTVグルーヴー

ちがう、嫌がらせじゃない!!
心弱きゆえの孤独への恐怖が原因に違いない!!
そう、ボロミアがフロドを襲ったように!!
彼こそ、不完全ないきもの「人間」の代弁者だ!!


2012年5月10日木曜日

ショーン・ビーン 〜弱さを表現するコワモテ〜


うおおお! おめでとう主演!珍しい!!

『ロード・オブ・ザ・リング』のショーン・ビーン、南アフリカの小説家デオン・マイヤーの3部作の映画化で主演へ ーシネマトゥデイー

ビジュアル的な理由から、悪役がとても似合っている俳優ショーン・ビーン。
単なる悪役を演じる場合も多いようだけど、個人的に心に残っている彼の悪役は、ロード・オブ・ザ・リングのボロミアや、やリベリオンのパートリッジだ。悪役、憎まれ役なのに、その影に、脆く弱い心も併せ持っている・・・そんな複雑な悪役を演じている彼が好きだ。

ま、彼の演じる役そのものが好きなだけなのかもしれないけど。
しかし、本作への主演によって、彼の本当の実力が明らかになることでしょう!


2012年5月9日水曜日

MacBook Proが瀕死状態な件

最近は、YouTubeすらマトモに見てなくなってきた。Airの値段が年内に大幅に下がるという噂を聞き、大きく心が揺らいだものの、一先ずは新型Pro待ちかと。

2012年5月8日火曜日

エクスペンダブルズ2 予告編第二弾


『EVERYONE IS EXPENDABLE』(全員、使い捨て!!)
予告編第二弾が公開。

Trailer #2: Almost every action hero in movie history is kicking ass in this trailer.

熱い。時代に取り残されたアクション俳優達の覚悟(開き直り)が伺える。
特にヴァン・ダム! 改めて・・・よくぞ参加してくれた!
スタローンVSヴァン・ダムのサシバトルが楽しみで仕方がない!


2012年5月7日月曜日

ええ話やな(怒)な「ブライズメイズ」

アメリカで超人気だったコメディ「ブライズメイズ」を見てきた。楽しめるかと思いきや、ちょっとこういうのは苦手かなーって映画だった。期待しすぎたかも。



<ストーリー> ーallcinemaより抜粋ー
 ”30代独身のアニーは、開業したケーキ店がつぶれた上、恋人にも捨てられ、人生最悪の日々を過ごしていた。そんな折り、大親友のリリアンが結婚することになり、アニーはブライズメイドのまとめ役を頼まれる。さっそく他の4人のブライズメイドたちを紹介されるが、いずれ劣らぬ個性派揃い。意見も合わないばかりか、互いにライバル意識をむき出しにする始末。それでもリリアンのために立派なウェディング・プランをと意気込むアニーだったが、前途には想像を絶する困難の数々が待ち受けていた。”


 正直、ネタが「ヤング≒アダルト」に近い。でもヤング≒アダルトはあくまでドラマ。このブライズメイズは完全にコメディとして作っていた。アメリカン・コメディには、日本人にハマる笑いもあればハマらない笑いもあるわけで、そう見ると本作が自分に合わなかったのも頷けるかな。特に、飛行機の酔っ払ったアニーや、ローズ巡査の気を引こうとするアニーは、さすがにクドイように思うんだ・・・(日本人でもちゃんと好きになれる人はいるんだろうけど)。
 なので、コメディが主路線である以上、期待していた「自分らしく生きる女性の力強さ」というポイントの深掘りはそれほど練りこまれていない印象。逆にコメディとしてのテンポはよかったと思う。完全なるエンターテイメントだね。なんだかんだで最後にアニーは救われるし。個人的には、救いの無い環境のなか、自分の意志で前に進もうとする結末だったヤング≒アダルトの方が好みだ。

 ただし、ここで描かれているような、自分だけ取り残されてい行く不安、親友の幸せが自分の不幸・不遇・孤独につながるという事実。・・・わかる、本当に。




2012年5月6日日曜日

久々の良品発掘「おとなのけんか」

ロマン・ポランスキー監督「おとなのけんか」を見た。
 ジョディ・フォスター、ケイト・ウィンスレット、クリストフ・ヴァルツといったオスカー受賞経験者が名を連ねるにも関わらず、賞レース殆ど入り込めていなかった作品。しかし作品レビューを見るとソコソコに高評価だったので、試しに鑑賞してみることにした。するとこれが大当たり。なかなか楽しむことができた。




<ストーリー> ーallcinemaより抜粋ー
 ”ニューヨーク、ブルックリン。11歳の子ども同士が喧嘩し、片方が前歯を折るケガを負う。ケガを負わせてしまった側のカウアン夫妻がロングストリート夫妻の家に謝罪に訪れ、和解の話し合いが行われる。お互いに社交的に振る舞い、話し合いは冷静かつ友好的な形で淡々と進んでいくかに思われたが…。”


 本作は、最初から最後までジョディ・フォスターとジョン・C・ライリー夫妻の自宅の一室で物語が展開される。4人の行動のみしか描いていない。レザボア・ドッグスやキサラギを思い起こさせる。調べると、もともと原作は舞台劇なのだそう。であれば確かにこのシステムを頷ける。
 ただし映画でこれをやってしまう場合、舞台劇の味とされる”誇張された脚本・演技”をそのまま移植してしまうと、不自然さが現れるんだな。映画のなかで、ケイト・ウィンスレットとクリストフ・ヴァルツは何回も部屋を出て帰宅しようとするのだけど、なんだかんだ話がこじれて、また部屋に戻ってくる・・・というのを3〜4回繰り返す。これが舞台上で繰り広げられたなら、とてもユーモアがある”台本”だと楽しむことができるのだろうけど、映画で、映像として見てしまうと、舞台上の誇張演出が逆に「白々しさ」みたいなものに変換されてしまう。一応ソレが目立たないようにシナリオは工夫されていたけど、限界があったようだ。こういう場合、あえてカメラアングルを限定的にして、カットを長くしたりすれば、擬似的に舞台劇風な体験をさせて、誇張演出を肯定できるのではないだろうかと予想したんだけども、甘いかな? それか、部屋を出ていくと思わせる展開をもっと減らすとかか?

 とはいえ、4人の会話そのものは非常に面白い。
 事前情報からの自分の予想では、2つの家庭の子供同士のけんかに端を発する2つの夫婦の”冷戦”が主テーマで、お互いの本音が徐々に現れてくる過程を楽しむように描かれたシナリオかと思いきや(勿論それもあるけども)、実際には話の論点はあちこち飛び、そのたびに、2夫婦のなかで敵味方が入れ替わり、はっきり言って子供の話は相当時間そっちのけ。2夫婦の抗争が、やがてそれぞれの夫婦喧嘩に発展したり、もう無茶苦茶。でもそうやっていろいろな会話が広がるなかには、クスッと笑わせる展開をイチイチ準備していて、まったく退屈しなかった。
 個人的に一番面白かったのは、クリストフ・ヴァルツ扮する弁護士だ。最初は、夫婦間の話し合いの場でも仕事の電話ばかりしている常識の無い冷徹な人間に見える。しかし周りの感情が高ぶってくると、もっとも冷静沈着でクールな存在に見えてくる。でもその後、携帯電話(ブラックベリー。いかにもだな。)を花瓶の中に突っ込まれてしまうと、一気に感情が爆発して怒り出し、直後に呆然と床に座り込んでしまう。そんな、あっちこっちにブレブレする様子が面白かった。ジョン・C・ライリーが酒を誘った時に、悪びれずに酒をもらっていた様子も思わず吹き出したな。あとは、ケイト・ウィンスレットのゲロがジョディ・フォスターの持っていた画集にBECHOOOOOOっとかかるところ、エグイけど最高だった。あー、こまかいトコロを言い出したらきり無いな。

 まぁとはいえ、子供を持つ親御さんはとても共感できる内容なのではないかと思う。子供が何かを起こした時、「子供づたいでなければ出会うことのない、全く価値観の違う家庭との仮面をかぶったお付き合い」が強制されるのだから。ましてや、トラブルなど起こってしまうと、険悪になるのも仕方ないもの。険悪にならなくても、普段からそういったお付き合いに疲れている夫婦がほとんど。それを惜しげもなくさらけ出し、本音をぶちまけ合う本作は、そういった人達のストレス発散になるんじゃないかな。


2012年5月4日金曜日

予習必須「裏切りのサーカス」

ゲイリー・オールドマンがオスカー主演男優賞にノミネートされた「裏切りのサーカス」を遂に鑑賞、元MI6諜報員が原作の小説「ティンカー・テイラー・ソルジャー・スパイ」の映画化。



<ストーリー> ーallcinemaー
 英国のMI6とソ連のKGBが熾烈な情報戦を繰り広げていた東西冷戦時代。英国諜報部<サーカス>のリーダー、コントロールは、長年組織に潜んでいるソ連の二重スパイ“もぐら”の情報を掴むも独断で作戦を実行して失敗、責任をとってサーカスを去る。コントロールの右腕で彼とともに引退した老スパイ、スマイリー。ある日、英国政府のレイコン次官から“もぐら”を突き止めろという極秘の指令が下る。ターゲットとなるのは、コードネーム“ティンカー”、“テイラー”、“ソルジャー”、“プアマン”という4人の組織幹部。さっそく信頼を置くかつての部下ピーターらと組み、調査を開始するスマイリーだったが…。


 鑑賞前の事前情報として、「登場人物の予習をするべし」との助言があったので、公式ページで人物相関図を確認してから映画に挑んだ。・・・しかし失敗だったのが、容疑者の名前を、ティンカー、テイラー、ソルジャー、プアマンというコードネームで確認してしまったこと。本編ではコードネームはあまり使われず、あくまで本当の人物名で語られることが多く、結局は話についていくのがやっとになってしまった。

 話のなかに銃撃戦らしい銃撃戦は無く、あくまで「見えない敵との頭脳戦」が中心。静かで、地味で、それなのにカナリ怖い作品だった。これがリアルなスパイなんだろうか。
 アカデミー脚色賞にもノミネートされている作品だけに、退屈はしないのだけれど、1つの会話の中の情報量が多い割に、次々と話が展開していってしまうところが正直辛かった。もう少しゆったりとしたテンポにしてほしかったかも。でも多分、小説のストーリーをしっかり伝えるには必要な措置だったのではないかと。実際面白かったし。その状況に加え、日本語字幕量より、実際に俳優がしゃべっている内容量の方が明らかに多かったので、字幕向けに内容を相当シンプルにさせていたのが伺える。日本語吹き替えで改めて見てみたい作品だった。

 この映画を見ると、諜報活動(インテリジェンス)の世界のエグさと奥深さの一端を垣間見ることができる。国家機密の前においては、事実は往々にして残酷となり、人は翻弄されていくしかないのだろう。・・・なんていう話のはずなんだけど、話についていくので精一杯で心から楽しめず、悔しい限り。

スイーツ女子好みのオシャレ映画には程遠く、出演しているキャストもオジサンばかりで地味。しかも話が難解とくると、なかなか上映する映画館が無いのも頷ける。


2012年5月3日木曜日

ウラトモトモエナ By Ken Watanabe

バットマン・ビギンズBlu-Day特典の登場人物紹介コンテンツにあるラーズ・アル・グール解説文に、娘タリアについての記載がある。”タリアという娘がいることはあまり知られていない”などと、原作コミックの内容をわざわざ思わせぶりに紹介していたので、ものすごく気になってしまった。

 そして、次回ライジングに出演するマリオン・コティヤールが、このタリア役なのではないかとの噂がある。(マリオン・コティヤールはインタビューでコレを否定はしている。)

 しかし後日、”真のラーズ・アル・グール”ことリーアム・ニーソンのライジング出演をワーナーが認めた。さらに、子役の少女ジョーイ・キングが、ライジングでタリア役を演じたことを認めた。

これは・・・確定じゃないか?


2012年5月2日水曜日

全てはここから始まった「バットマン・ビギンズ」


 昨日公開のダークナイト・ライジング最終予告編に感化され、久々にバットマン・ビギンズを鑑賞。本作の鑑賞は、劇場公開時以来。なんだかんだで、7年弱の月日が経ってしまった。




<ストーリー> ーallcinemaより抜粋ー
 ”大富豪の家庭に育ったブルース・ウェインは少年時代、井戸で遭遇したコウモリの大群に圧倒的な衝撃を受け、またさらには彼の両親が目の前で殺されて大きなショックを抱え込む。やがて父の遺した企業を受け継いだブルースだったが、強いトラウマと親の仇への復讐心は消えず、犯罪者の心理を知るため自ら罪人となる。そんな彼はある日、デュガードという男と運命的な出会いを果たし、不正と闘うことを決意。そして彼の薦めにより、ヒマラヤの奥地に潜む“影の同盟”なる自警団のもとで心身を鍛え、心の闇を解放する。こうして彼は、ゴッサム・シティへと舞い戻って来る。街は悪の組織と暴力がはびこり、腐敗が進んでいた。自らの使命に確信を持ったブルースは、全身黒いコスチュームを身に纏ったバットマンとなり、巨悪と対峙する道を選ぶのだった。”


 ダークナイト・ライジングがここまで期待されているのは、前作ダークナイト(主にはジョーカー)の壮絶な高評価があってのもの。シリーズ一作目であるバットマン・ビギンズは、公開当時それほどの注目を集めていなかった。自分もビギンズ初見の際には、「まぁ、こんなもんね」なんて感想を持ったものだ。
 その評価は、今回改めて鑑賞しても変わらなかった。意味があるとすれば、「ダークナイト伝説"前後編"へのプロローグ」として、かな。十分楽しめることは間違いないんだけども、シナリオが若干弱いね。すごくツボに来るセリフもあるのに、どうも全体を通してバタついていて、まとまりが無く、軽い印象を与えてしまう。もうあと一息練りこまれていれば、重厚感のあるシナリオになったはずなんだけども。もう少し上映時間を確保出来ればよかったのにな・・・。

 俳優の演技で言ったら、クリスチャン・ベイルとゲイリー・オールドマンの雰囲気が「昔」っぽかった。言い換えるなら、演技の幅がまだ狭い様子が伺えた。なんだかタイムスリップした気分だ。
 クリスチャン・ベイルが狂ったブルース・ウェインを演じている姿がアメリカン・サイコのパトリック・ベイトマンを思い起こさせたし、静かに話す様子はリベリオンのジョン・プレストンを見ているようだった。
 かたやゲイリー・オールドマンは、幼少時のブルース・ウェインを慰める際の演技で、ブルースを安心させるために小さく笑いかける表情をするんだけど、その表情がどうにも”裏があるような笑い方”で、レオンやエアフォース・ワンを思い出してしまって、「ああ、ウェインは今にも首を絞め殺されてしまうんじゃないか」なんて冗談混じりに恐怖してしまった。
 この2人にとって、ノーラン・バットマンは俳優としてのキャリアを広げるキッカケになってるはずなので、昔の演技スタイルが本作にはまだ滲み出ていたんだろうか。

あと、なんというか、キレキレのキリアン・マーフィを久々に見た。
「コレだよコレ!あんたはこの演技が一番だ!」
と心で叫んだ。



2012年5月1日火曜日

ダークナイト・ライジング 最新・最終予告編

ダークナイト・ライジングの最終版予告編が、遂に公開された。
全米では今週末にアベンジャーズが封切になるけども、完全にマーベルの横っ面引っ叩いたな。あれだけ豪華なヒーロー大集合映画が、単なるお祭り行事にしか見えなくなってしまった。



今回の最終予告編で、低くドスの聞いた「バットマンの」声を久々に聞くことができた。とても嬉しい。お陰で、あの「ダークナイト」の続きが見られるっていう実感がいよいよ湧いてきた。さらに、前回の予告ではチョイ役だったキャットウーマンことアン・ハサウェイと、ジョセフ・ゴードン=レヴィットが長時間登場。アン・ハサウェイのスーツは、キャットウーマンというよりむしろバットガールに近いような印象受けてしまった(笑)共闘するみたいだし。まぁ俊敏な動きはキャットなんだが・・・。

本作でバットマンには、新しく空を飛ぶ乗り物が加わった。勿論、映画史上においてAKIRAの金田バイク並みにかっこいいと評される(?)バットポッドも健在。旧バットモービルは何故カラーリングを変えて白昼を走行しているのか。(update:そうか、開発当初の設計色か。)その旧バットモービルに追われながら突き進む重厚感たっぷりのトレーラーは何者か。うーん、興奮してくる。

5月に入り、日本公開まであと3ヶ月を切った。勿論、早く観たい気持ちは山々なんだが、観てしまった後、心にポッカリと穴が開いてしまいそうで怖い。ダークナイト以後の4年を支えてきたものを失ってしまうようで・・・。