2012年11月1日木曜日

ハンガー・ゲームは気の抜けた炭酸だ

全米で大ヒットを記録したティーン向けサバイバル映画「ハンガー・ゲーム」
設定がバトル・ロワイアルに似ているってことで、
日本では「US版バトル・ロワイアル」なんて表現がされているけど、
雰囲気も作者の意図も、バトロワとはかなり違ってた。
どっちかっていうと、イキガミに近いような。


つまらないわけでは決して無く、ハラハラする箇所も適時盛り込まれてる。
まぁ、娯楽として及第点だ。

・・・のはずなのに、何かしっくり来ない。
やっぱ全体的な雰囲気がヌルくて殺し合いって感じがせず、
非現実的に見えるからかな。
何せ、僕ら日本人は既に「バトル・ロワイアル」に出会っているのだから。

ヤングアダルト小説が原作だから、
入場年齢制限のラインを可能な限り低くしないといけないので、
過激な演出はできないのはわかる。
それを補うため(・・・かどうかは分からんが)現代社会や学園における
諸問題をメタファーとして脚本に取り込む努力をしているのも分かる。

でも、ハンガー・ゲームで描かれる戦闘が「殺し合い」じゃないことは
映画玄人やバトロワ経験者の日本人なら一発で見抜けるので、
どうしてもそこがピンと来ない。

彼らが何を目的に戦っているのかが分かり辛く、(生き残りたいのか、馴れ合って逃走したいのか、等。)プレイヤーの行動原理が掴めないのも問題かも。

うーん、こちらの見方がひねくれてるのかな?





<以下、ネタバレ小言>

とにかく、前半後半通して、コンスタントにヒマ時間があって辛い。
前半なんてウディ・ハレルソンの戦術が上手く行きすぎで終始イケイケなので、
何か釈然としない。

殺し合いが始まってから、生き残り人数が何人かよく分からないので、
緊迫感が伝わらない。鑑賞者に大砲の数を都度数えさせるつもりか? 
特にラストの自殺云々のくだり、
District12の2人が残りの2人って事に気づかなかったし。
そんでもって、あそこで自殺させて「勝者なし!」だと
具体的にどういう問題になるのかわからないので、
ジェニファー・ローレンスの賭けの巧妙さが伝わらないんだな。

スクリプト領域の違和感は原作譲りなんだろうが、困った困った。
まぁ、ヤングアダルト小説はこんなものか。


結論:リアム君が可哀想だぜ、このビッチ!!