2012年4月9日月曜日

ミシェル・ウィリアムズの為の映画「マリリン 7日間の恋」

 ミシェル・ウィリアムズ主演「マリリン 7日間の恋」を見た。
 完全にミシェル・ウィリアムズに賞を獲らせる為の不純な映画だったけども、思ったより楽しめて満足なり。同様に俳優賞が目的だったデカプーの「J・エドガー」と比較すると全然マリリンの方が良い。テーマが恋愛なので分かりやすいからか?

ただし、ジュディ・デンチの無駄遣いと、先行き不安なエマ・ワトソンにはちょっとガッカリ。




"1956年、マリリン・モンローは、ローレンス・オリヴィエ監督・主演作「王子と踊り子」の撮影のためロンドンに降り立つ。演技派への飛躍を胸に、本作に並々ならぬ意欲を見せていたマリリンだったが、彼女の学んでいた演技法はオリヴィエによって否定されてしまい、様々なプレッシャーから遅刻も常習化していく。おまけに、結婚したばかりの夫アーサー・ミラーは、情緒不安定なマリリンを持て余し、さっさと帰国してしまう。そんな中、撮影がはかどらず苛立つオリヴィエからマリリンの見張り役を命じられる第3助監督のコリン・クラークだったが…。"


 ストーリーを考えず、率直に言ってしまうと、マリリン・モンローが、「稀代のメンドクサイ女」であることがわかる映画。天然で悪気のない純真無垢さが見て取れるけども、これを普通の女性がやったら、単なるワガママ娘に見えてしまう。
 本作は、コリン・クラークの回顧録やその他の証言・史実を逸脱しないよう忠実に描かれているように見える。でも単純に描くのではなく、なんとか彼女のワガママ素振りを見えないように描こうと努力していたに違いない。それでも見えてしまう(というか、必然として描かざるを得ない)ワガママっぷりは、前後の関係性でうまく正当化できていて、最後はなんだかんだでスッキリする。これを脚本家の努力と言わずして何とする!?・・・でもアカデミー賞で脚色賞はノミネートされてないのね。確かにもっと脚色して面白くすることもできたでしょうよ。でも今のシナリオの方が「事実と言う名の"地"に足ついた」感じがするんで、好感が持てるし、リアルだと思うね。

 とはいえ、ハッキリ言って、というかヤッパリ、本作の魅力はミシェル・ウィリアムズに限る。正直ここまで凄いとは思ってなかった。完全にマリリン・モンローになりきっていたよホント。相当研究したんだろうなぁ。ストーリー展開はあくまでコリン・クラーク視点で見たストーリー(原題はMY WEEK WITH MARILYN)なので、ミシェル・ウィリアムズはある意味脇役と言われても仕方の無い立ち位置。そんな状況の中、ふと油断すると、ホンモノのマリリン・モンローが本人役で出演しているかのような錯覚に陥ってしまう。一見単なるワガママに見えそうなところを純真無垢に演じることができたのは、彼女の演技によるところが大きいだろう。

 共演する女優にジュディ・デンチがいるけども、彼女は完全にミシェル・ウィリアムズの引き立て役だった。最初の方に少し見せ場があるんだけども、暫く雲隠れ。忘れた頃にまた現れて「初恋は辛いものよ」的な事をコリンにささやくというチョイ役っぷり。今更アンタ何しに来たんや(笑)と心の中でツッコんでしまった。あの役はジュディ・デンチである必要はなかったね。とはいえ刺身にのった菊の花のようなもの。作品に添える華として一定の存在感はあったかと。

 反面、同じく共演女優のエマ・ワトソン。こちらは逆に「キミ大丈夫か?」と心配になる。全体を通して、表情が硬い。よく考えたら、彼女は子役から演技をしているのに、10年間の出演作はハリポタばかり。ひたすらハーマイオニーのみを愚直に演じてきたために、演技の幅がまるで無いんだ。なんと可哀想な。SWのルークやレイア姫の様に消えてしまわないことを祈る。ラドクリフ君を含めてね。
※ロンはハン・ソロ的位置なので生き残りそうだ。

 男優で言うと、ケネス・ブラナーのローレンス・オリビエが素晴らしかった。本当に素晴らしかった!・・・と思ったら、やっぱり彼も助演男優賞にノミネートされてた。あのクリストファー・プラマー本命な雰囲気はさすがに破れなかったか・・・。こっちの方がいい味だしていると思うけどなぁ。

 というわけで、キャスト中心に観察してみた本作でありました。


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