2012年4月28日土曜日

ノスタルジーへの平手打ち「アーティスト」

フランス映画で、しかも無声モノクロ。
アカデミー賞作品賞獲得「アーティスト」。


ストーリー ーallcinemaより抜粋ー
”1927年、ハリウッド。サイレント映画の大スター、ジョージ・ヴァレンティンは、彼に憧れる女優の卵ペピーと出会い、自身の主演作でエキストラの役を手にした彼女に優しくアドバイスをおくる。そんな中、時代はセリフのあるトーキー映画へと大きく変わっていく。しかしジョージは、自分は芸術家だと主張してサイレント映画に固執、瞬く間にスターの座から滑り落ちることに。そんなジョージとは対照的に、時代の波に乗ってスターの階段を駆け上っていくペピーだったが…。”


無声映画は、より人の感情へ訴えかけると言っていたけども、現代映画に慣れている自分には、少々疲れを起こす映画だった。テロップが実際の発声より遅れて表示されるのが、どうにも違和感。面白かったけどね。
ところどころで音声を使っているところを見ると、無声映画を撮りたい!という意識より、これが無声映画だ!というノスタルジーへの尊敬を表す意識があるかな。でも、ノスタルジーはあくまでノスタルジーであって、現実を、未来を見なければいけないっていう事を描いていたように思う。うーん好感が持てる。三丁目映画よりもオトナ帝国に近い、辛いけど前向きなお話だった。

「パルムドック」の犬さんの演技(芸?)はホントすばらしかった。細やかな動きと、演技のバリエーションが多く、申し分ない。

あと心に残ったのは、ジャン・デュジャルダンが自暴自棄になって自分のフィルムを全部バラバラにして火を付けた後、ハッと我に帰って、グチャグチャにしてしまったフィルムの中から、無傷のフィルムを見つけて強く抱きかかえるシーン。あれを見て思い出したのが、ロード・オブ・ザ・リングのボロミアだ。ボロミアは旅の途中、欲に溺れて感情が高ぶり、フロドから指輪を奪おうとしたが、フロドは間一髪逃げ出した。ボロミアは直後に我へと帰り、「俺はなんてことをしていまったんだ」と後悔する。そいて、フロドが敵に襲われた時、ボロミアはその命をかけてフロドを守り、罪を償った。
感情って難しい。あとで思えば「何であんな馬鹿なことを」っていうような間違いを犯してしまう。でも、そのあとの贖罪に、苦しみに、途方も無い努力と時間を、人生をかける。あれこそ、人間の醜さであり、美しさでもある。そんな凹凸ボロミアは、我々人間の代弁者だったのだ。ああ何て奥が深いロード・オブ・ザ・リング。・・・って話変わってる。


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