10年以上も前のオスカー受賞映画「アメリカン・ビューティー」。
見たことがなかったんだけども、親類から勧められて、初鑑賞。
こりゃー傑作だ。
テンポがよくてダレないし、ストーリーも相当引き込まれる作りになっていて驚き。こういう「何気ない生活」が面白いのは、ひとえに脚本の力だ。プロットのインパクトや見せかけの衝撃に頼り様がないのだから。ベースが日常生活なので一見テーマは味気ないのだけど、それが逆に良くて、一般鑑賞者から共感されやすかっただろう。ましてや、描かれる情景はモロに家庭崩壊。米国の中下流階級社会の慢性病になっているはず。この何気ない不安、やりどころのない孤独感は、正に現代の人々(アメリカ人だけでなく)にマッチしたものだと言える。
そして、本作のケビン・スペイシーの何と素晴らしいこと!オスカーも納得。
あと音楽もよかったな~。(グリーン・マイルと同じ「トーマス・ニューマン」納得。)
美とは何だったろうか?
この絶望的な日常に、美なんてあるのか?
むかし存在していた美はどこにいってしまったのか?
そんな事を考えた。(ちょっとオトナ帝国っぽい?)
先の見えない不安と絶望の「日常生活」を送る人達に対し、別の視点を提起する映画。・・・というか、いつの間にか視点を変えていたのは自分なんじゃないか、とも思える映画。こんなのシャラ臭いとか、胡散臭いとか、現実逃避だとか、偽善だとか、開き直りだとか、虫酸が走るとか、そういう主張もあると思う。だから、この主張を鵜呑みにしろとは言えない。(というか、完全に鵜呑みにしてしまったら人としての前進が終わってしまうような気がする。)ただ、「こんな視点もある」って程度に軽く構えて見るのがいいなんじゃないかな。そうすれば、ちょっとだけ気持ちが楽になると思う。
日常生活を送る人々に、心の深呼吸をさせてくれるような映画だった。
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