2011年12月15日木曜日

パテントマップを使うということ。

パテントマップを有効利用しよう、なんて文句は、知財界を生きる人間ならば耳が痛くなるほど聞かされている。パテントマップさえあれば、他社の技術動向が、上手く行けば企業戦略だってわかってしまう時がある。

こう言ってしまえば、「それは使わない手はない」と誰しもが飛びつくだろう。それが普通の企業人のはず。

でも、実際にパテントマップを有効活用できている人がどれほどいるんだろうか。
叫ばれている=まだまだ浸透しているとは言えない、 という図式が成立しているのではないかと自分は持っている。

どうしてこんな美味しい話が先に進まないのだろうか。

恐らく、皆が同じステップでつまずくからだと思う。同じステップとは則ち「どう有効活用しようか、どうすれば有効活用できるのか」というステップのこと。これを具体的に検討するのが、非常に難しいんだ。

なぜなら、知財は一定の方式や指針でもって教科書的・手順書的に活用できるものではないからだ。それは、会社によって必要な情報が異なるためである。
というより、「会社が属する事業分野によって必要な情報が異なる」と言うべきだろう。


既に一般論なのかもしれないが・・・、
企業が知財をどれだけ重要視するかを左右するのは、企業の考え方より、市場の風土に影響を受けるからだと考えている。
そして、事業戦略として知財を取り入れる場合、パテントマップを利用するならば、
マップ化して確認すべき事項が、市場風土にそって大きく変わってくるのだ。

事業戦略として取り入れることができるパテントマップとは、決してパテントオンリーマップではない。他社の売上、受注状況、力関係など、企業風土を反映しマージさせた総合情報と織りまぜて知財情報を提供することで、初めてパテントマップは活用できる形になると考える。
言い換えると、企業ごとの出願内容や出願件数推移を検討したところで、戦略に取り込む形になっているとは到底いえないということ。

「そこから先は営業や経営が考えることであって、我々は材料を提供すればいい」なんて言う人もいるかもしれない。
しかしそうやって相手に歩み寄らせようとしても、寄ってきてくれるわけがない。
(そのくせ知財問題が起きると、知財部の責任として叱咤されてしまうという・・・。)

知財の人間はこういう場所でも知らないうちに狭い殻の中に閉じ困ってしまうのだ。
いいかげん、仲良しの馴れ合いから離れ、自らが良い方向に動き出せるようにしないといけない・・・。
パテントのことばかり考えたって、戦術なんて組めないわけだ。マップで情報提供するなら、情報提供される側が、その情報でもって事業を良くすることができる姿をイメージできないと。

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