2012年3月11日日曜日

ルーニー・マーラは主演!(笑)「ドラゴン・タトゥーの女」


デビット・フィンチャー監督最新作「ドラゴン・タトゥーの女」を見てきた。

 この映画はどんな話か?
 それはね、優秀な調査能力やハッカースキルを持ちながらも、幼少からの不幸な生い立ちから人との衝突を繰り返し、不器用に生きることしかできないまま大人になった女性「リスベット」が、ある事件をキッカケに、とある男性知り合い、初めて「心からの信頼」と「淡い恋心」を他人に抱くことができたものの、その気持ちは辛い結末を迎えてしまう、という切ないラブストーリーだよ。

異論は認めない。



下のYouTubeは本編のオープニング映像。
ダニエル・クレイグが出演しているだけに、観ていた時は007を思い出した。


ストーリー−allcinemaより抜粋−
"スウェーデンの社会派雑誌『ミレニアム』を発行するジャーナリストのミカエルは、大物実業家の不正告発記事が原因の名誉毀損裁判で敗訴し窮地に陥っていた。そんな時、国内有数の企業グループの元会長ヘンリック・ヴァンゲルからある依頼が舞い込む。それは、40年前に彼が我が子のようにかわいがっていた一族の少女ハリエットが忽然と姿を消した迷宮入り事件の再調査というもの。やがて、調査が暗礁に乗り上げたミカエルは、ヘンリックの弁護士から社会性はないものの驚異的な情報収集能力を持つ小柄な女リサーチャー、リスベットを紹介される。実は、ミカエルがこの一件を任されるにあたり、信用に足る人物か、その身元調査を担当していたのが彼女だった。こうして、2人は手分けをしながら事件の真相を追っていくこととなるが…。"


<ネタバレ注意>

 ゴスっ娘リスベットに、まさかツンデレ要素があったとは・・・。ミカエルに対して少しだけ頬を緩ませる表情を見せた時、かわいすぎて死ぬかと思った。

 ソニー・ピクチャーズの映画といえば、出演者の使用するガジェットを毎度ソニー製にさせているのに、リスベットにもミカエルにもVaioではなくMacを使用させていた。リスベットが序盤に使用している旧式Macは自分と同型だったので妙にうれしい気持ちになった。これはなぜだろう、原作がそうなのか、監督の指示か・・・。ただ、携帯電話はソニー・エリクソン製の携帯電話だったな。

 で、内容はというと・・・これが何とも評価に難しい。ざっくり言うと、
ストーリーが▲、
演出・撮影・脚本は◎。
合計で◯評価・・・となってしまう。

 なぜストーリーが▲か? 正直、「なんとなくアリガチな展開」と感じてしまったから。「見も凍る真実」と言われたけども、こんな話は別の何かの映画でも見たなぁ、という既視感が拭えなかった。ゆえに刺激が弱く、とても残念。
 ストーリー(特にラスト)は、原作およびスウェーデン版と異なるものであるとの情報があり、明らかに本作の責任だと言わざるを得ない。でもこれ、そもそもこういう系統が得意なデビット・フィンチャー自身が、セブン、ゲーム、ファイトクラブを通してオーディエンスへ耐性をつけさせてしまったんじゃないか?だからこれまでの感覚で同じレベルのストーリーを提供されても観客はもう驚かない。因果応報ってやつだ。

 とはいえ、映像技術については文句なし!素直に「メチャかっこよかった!!」。脚本も、結末には不満足なれど、ディテールやテンポは素晴らしく、2時間半の上映時間の間、全く飽きずに観ることができた。そして、いちいちミカエルやリスベットを映す映像が美しくて、かっこいい。
 ミカエルとリスベットの共同調査の際、ミカエルの調査活動の合間にリスベットがバイクでただ疾走しているシーンを挟み込んでいるところがあった。あれはミカエルのカットの合間にスピード感のある映像を挟み込むことで、単純な調査活動にスリルを与えつつ、調査が進展していることを観客に意識させるためのメタファー的な役割を果たしている。そしてそのバイク映像がとってもカッコイイんだな、これが。妙に頭に残ったシーンだった。





 うわさのモザイク、あれは酷い。フィンチャー監督、そしてルーニー・マーラへの完全なる侮辱だ。
 もしあのモザイクを外したならば、日本配給側の立場から、多分R18指定にしなきゃいけないんじゃないかな?
で、R18指定映画になると、学生観客が見込めないだけでなく、「怖い映画、刺激の強い映画」としての外面を持ち合わせることになり、ライトな一般客に悪い印象を与え、母数がガクンと減ってしまう。すなわち、儲けが減るわけだ。なので映画館は上映を嫌がり、全国的な公開館数は限定されてしまう。
 とはいっても本作は、紛れも無く”世界的超絶話題作”だ。カルト的人気を誇る鬼才デビット・フィンチャー監督の最新作で、かつ、史上最高の007とも噂されるダニエル・クレイグが主演、さらには新鋭ルーニー・マーラに至っては、その素晴らしい演技によりアカデミー賞ノミネートが見込まれる(実際ノミネートされた)。つまり、買付け料金が高い!!ヘタな上映をすると、興行的失敗になり、儲けが減ることが予想される。
 だから、R15までレーティングを落として客数・利益を稼ぐかわりに、作品にモザイクを上書きするという「作品に手を入れる行為」に走ったわけだ。

 つまり、一番悪いのは日本の配給会社でも映画館でもなく、日本の映倫もしくはそれより上層の連中によって作られた「保守的でクローズドな体制」ってことだ。「表現行為としての映画」の尊厳を軽視し、余計な制約をつけることを厭わない、悪質な侮辱的侵害とさえ言える。

 現状、こんな枠組みで年齢規制が成されている。<審査レート>
クソったれ!こんな大雑把な基準では、不必要なものに余計なレーティングを与えることになるだろう!!グロ映像が見たくない人だっているだろうから、何かしらの表示は必要かもしれない。でも、この形がベストか?これじゃあ表現者達はみんな怒っちゃうよ?


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